愛しき三兄弟!月組「桜嵐記」出演者別感想

 

前回のブログでは「桜嵐記」のあらすじ感想を記しましたが、今回はキャスト別に綴りたいと思います。 

 

物語の確信に迫る部分(ネタバレ)もありますので、ご留意ください。 

 

楠木正行・珠城りょう

主人公楠木正行という人物は、容姿端麗で剣は凄腕、真面目で心優しく仲間に慕われるリーダーだが女性には不器用。

 

こんな役を演らせたら珠城さん天下一品ですね😃  

 

 

敵に拉致されそうになった弁内待(美園)を通りすがりにサラッと助けたり、敵兵の傷の手当てを率先しておこなったり、身分の上の者にも臆することなく意見を述べたり、敵の甘い誘いを迷いなく断ったり。 

 

これでもかと優しさと正義のカッコいいエピソード満載です😆 

 

不器用な二人(珠城、美園)が時間を共にするうち、少しづつ距離を縮めていく絶妙なお芝居。

心が通じあったのに別れを選ぶ切ない演技。

一度は別れを告げたが、戦の前日、最後の時を共に過ごす憂いのある雰囲気。 

 

美園さんとの場面は丁寧なお芝居で、セリフのない余白にも切なさと色気が漂います♥️

 

一方、弟たちや兵の前での珠城さんは、ひたすら高潔で頼れるリーダーです。

 

敵の誘いを断り 死ぬ戦に行くと決めた時、弟たちを巻き込みたくないからと「お前たちは好きにしろ!」と言い放つ声色。

 

敵に斬られて虫の息になっても「この命これからはたった一人の女のために使いたい。ここで楠木が全員死んでどうする。お前は行け!」と弟や周りの行く末を思って吐くセリフ。  

 

凄みの効いたこれらのセリフを聞いたとき、セリフ一つにこれだけの説得力を持たせるために、今まで男役として、トップスターとして、どれだけの努力をされてきたのか と涙がでました。 

 

珠城さん男役最後の舞台、本当に素晴らしかったです☺️  

花吹雪舞う中の凛々しい珠城さんの姿を 私は一生忘れない。

 

楠木正儀・月城かなと 

 

滑舌の良い河内弁が とにかく気持ちが良い。 

 

方言が下品にならないどこか、「みんなに愛されている憎めないヤンチャな三男坊」という人物をセリフの言い回しだけで表現できる月城さんに感服しました😃  

 

美園さんとの足を触る触らないのやりとりも セリフの間が絶妙でクスッと面白い。

 

強い絆で結ばれた三兄弟も 次の戦で兄たちが死に、月城さんがただ一人生き残り、その後は誰よりも重く長い人生を送るのです。 

 

2回目観劇は結末が分かっているので、無邪気な時代の月城さんがより可愛らしく愛おしく思えます😭

 

敵の誘いを受けて生き延びる方がいいと思っていても、兄・珠城さんが決めたことに「しゃーないな。」と死を覚悟し志を共にする瞬間の表情の見事さ。 

 

そして、なんといっても珠城さんとの今生の別れのシーンは圧巻。  

 

セリフも含め、トップのバトンを繋ぐ意味合いを含んだ名シーンです。

 

残る珠城さんも立ち去る月城さんもボロボロに泣いて、オペラグラスなくても2階席でも涙が見えました。 

 

 

作品ごとに大きくなる月城さんから目が離せません。 

 

月城さん率いる月組も応援していきます☺️ 

 

楠木正時・鳳月杏 

 

桜嵐記の登場人物の中でいちばん掘り下げされた役どころです。 

 

武芸よりも料理が好きな愛妻家。  

 

鳳月さんの落ち着いた甘い声が正時の温和な性格を表していて微笑ましい。

 

平和な日々が続けばいいのですが、この後、愛する妻を思うが故の選択が悲劇となり。。。 

 

妻の父や弟が敵に寝返ったと知り、妻を守るため、自分とは離縁して父弟と共に敵へ行くよう厳しい口調で促します。 

 

この時、厳しい言葉とは裏腹に切ない心情が鳳月さんの体や声から滲み出て胸をえぐられます。 

 

こんな辛い思いをして別れたのに、その後 妻は敵地で夫の足手まといにならぬよう自害してしまうのです。 

 

そして、鳳月さんが敵に斬られ命尽きる瞬間、「三途の川で妻が待っている。」のセリフに涙涙涙😭😭 

 

のんびりマイペースな次男坊が妻を守るため 苦渋の決断を下し、父の志を受け継ぎ 兄弟と共に日の本のため命を全うする壮絶な生きざまを、場面場面で見事に演じて素晴らしかった。 

 

弁内待・美園さくら 

 

おっとりとした口調が根っからの品の良さを醸し出し、立ち居振舞いもお姫様そのもの。

 

かと思えば、自ら敵の劣りになるという頑固で向こう見ずなところも上手く表現しているのは流石ですし、堅物の珠城さんの頑なな心を溶かすのはこのくらいの推しの強さがないと、と思わせる役作りで好感がもてました。 

 

サヨナラ公演で珠城さんと美園さんの品のある切ない恋が見られて良かったです☺️ 

 

後村上天皇・暁千星 

 

誰よりも位が高く権限もあるのに、亡き父にいまだに縛られ 苦しい決断をせざるを得ない難しい役どころ。 

 

諦めとは違い、全てを受け入れる大きな器が 言葉ひとつ、佇まいひとつで表現されていて、この人が決めたことならと納得させられる演技にジーン😭 

 

珠城さんと美園さんをくっつけようと少しお節介なところや、自分よりも周り優先なところとか、珠城さんと幼なじみという設定も頷けます。  

 

暁さんの歌でこの物語が締められるのですが、その美声で感動倍増です。  

桜嵐記 その他出演者 感想 

ジンベエ・千海華蘭

冒頭は千海さんの独壇場。

よく通る声と勢いのあるお芝居で、低い身分の悲哀や、珠城さんの人柄に魅せられ男が男に惚れる様を上手に演じていらっしゃいます。 

晩年も役代わりなしでご自身が演じているのもポイント。 

  

楠木正成・輝月ゆうま 

個人的にはこの方がMVP😃 

登場場面は多くはありませんが、死して尚 三兄弟に多大なる影響を与えた父に相応しい貫禄。

幼い子供たちに教えを解く回想シーンが効果的ですし、後半アカペラで朗々と歌い上げる楠木の歌は絶品です。 

これからの専科でのご活躍楽しみにしてます。 

高師直・紫門ゆりや

一つ間違えば下品にも取られかねない権力と女に汚い高師直を絶妙なさじ加減で演じていて驚きました。

紫門さんの女房(白雪さち花)さんは、しっとりと匂い立つような色気。二役もお見事!! 

足利尊氏・風間結乃

落ち着きはらった貫禄たっぷりの立ち居振舞いと、一言一言に熱を感じるセリフ回し。

専科さん?と思ったら風間さんでした😃(笑)

紫門さんと風間さんの圧のある濃い演技が、透明感のある楠木三兄弟との対比を表すのに効果的で素晴らしい役作り。

月組は出演者全員が名役者ですね。 

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